現在の育児書の主流の『自己肯定感』という言葉。
「ありのままの自分を受け入れ、尊重する感覚」と言われています。
「失敗しても怒られてもどんな自分であっても自分が好きだし、自分を信頼している」という気持ちです。
しかしHSP/HSCの子どもや、発達障がいを持つ子どもは、自己肯定感が育ちにくいと言われています。
今回は『自己肯定感』と『愛情タンク』のお話です。
HSP/HSCが自己肯定感が育ちにくいわけ
- 「どうせ私なんてダメな人間…」と自分を責めて否定してしまう
- 相手が望むとおりにしようとして疲れてしまう
- 小さなミスでも激しく動揺してしまう
- 結果を出そうと頑張りすぎてしまう
- 相手の感情に左右されすぎてしまう
HSP(繊細で敏感な気質)の方はこういった感情を持ちやすく、『HSP』の存在を知るまでは、HSPは人口の20%(5人に1人)しかいないということも知りません。
周りを見ても、ここまで敏感に物事を感じている人が見当たらない(ように感じる)ので、「自分の感覚はなんか変だ」という思考に陥りやすいです。
そのため、自分を愛せない(こんな自分が嫌い)=自己肯定感が下がってしまうという方程式ができ上がってしまいます。
大事なのは子ども時代
子ども時代にどう育ったか?
これにより、同じHSPでも性格に大きな差が出ます。
以前私はHSPであり「アダルトチルドレン」だというお話をしました。
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まず第一は『親』です。
この世に生まれてきた赤ちゃんが、初めて社会と繋がる存在が親です。
「あなたはあなたのままでいいんだよ」
「泣いても怒っても、どんなあなたも好きだよ」
こんな大きな愛に包まれて育った子どもは、自己肯定感も一緒に育ち、どんな自分も受け入れられるようになります。
親との関係性がしっかりしていると、嫌なことにもNOと言える子に育つ可能性が高くなるので、自分に悪い影響を及ぼす友人とつるむことなく、学校生活の影響は受けないバリアが張ることができます。
無条件の愛
子どもは生まれながらにして平等に愛される権利があります。
赤ちゃんは何もしなくても無条件で可愛がられる。
子どもが大きくなっても根本は変わらない。
「○○して良い子ね」というのは【条件付きの愛】であり、
「あなたに何があっても、悪いことをしたとしても、お母さんはずっとあなたのことが大好きだからね」というのが
【無条件の愛】です。
人格否定の言葉
反対に、こちらのツイートにあるような言葉を、親が子どもに言っていたらどうなるでしょう。
人格否定の言葉とは次のような言葉だ。
— 親野智可等 (@oyanochikara) 2020年7月17日
1,また約束を破った。ずるい子だね。2,弟を泣かすなんて意地悪なお兄ちゃんだ。3,また70点とは情けないやつだ。4,何度言ったらわかる?頭が悪いな。5,またごまかす。お前は卑怯だ。6,どうせお前には無理だ。7,あなたなんかにできるわけがない。8
子どもは、自分の存在を否定されたように感じます。
HSCは特に「親に負担を掛けたくないから」と気持ちを塞ぎ込んでしまいます。
そして完成するのが、生きづらさを感じて病みやすい大人です。
自己肯定感が低い弊害
自己肯定感が低いと、どんな弊害が起こりやすいのでしょうか?
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こちらの記事にも通ずるものがありますが、自分の自己肯定感の低さに気付けないでいると『思考のクセ』が定着してしまいます。
- 自己否認してしまいがち
ついつい他人と比べて自分の悪い所を見つけて悲しくなります。
- 劣等感が強い
隣の芝生は青い状態です。
- 自分にはできない、無理だと思い込む
自分に自信がありません。
- 精神的に不安定になる
特に気を許した相手に怒りやすくなったりします。
- 完璧主義·自分への理想が高い·白黒思考
まぁいっか!と思えない。
- 他人の評価が気になり、自分を上手く表現できない
自分の子どもがこうなったら嫌ですよね!
私は自分の子どもには私と同じ思いをさせたくない気持ちが強いです。
それは小学生の頃から決めていました。
でも、世の中には元々の気質により、親がどれだけ愛情を与えても『自己肯定感』が育ちにくいタイプの子がいます。
自己肯定感が育ちやすい子の愛情タンク
- 低用量
少し愛情を注いでもらったら「ありがとう!じゃあ行ってきます!」と言って社会に羽ばたける
- 間口が広い
親が少し褒めたら「やったー!」と素直に嬉しくなる
- ガラスが厚い
心のバリア(境界線/バウンダリー)が厚いから自他の境界線がハッキリしている
- ひび割れしにくい
多少怒られたくらいではへこたれない芯の強さがある
自己肯定感が育ちにくい子の愛情タンク
- 大容量
愛情を注いでも注いでも足りない甘えん坊
- 間口が狭い
注いだ愛情を素直に受け入れられない
- ガラスが薄い
心のバリア(境界線/バウンダリー)が薄く、外的刺激に弱い
- ひび割れしやすい
注意されたり怒られると、今まで貯めた愛情(ハート)が全て流れ出てしまう
長男は後者です。
むしろ長男をイメージしてイラストを作成しました。
愛情を注いでも注いでもふりだしに戻る
私や主人や保育園の先生達が、どれだけ愛情を注いでも注いでも、彼の愛情タンクはいっぱいになることがありません。
少し注意したり叱られるとガラスが割れ、今まで貯めてきた愛情が流れ出てしまい、修復に時間が掛かるためです。
おまけに大容量でガラスが薄い。
いつもいつも「もっと愛情(ハート)でいっぱいにしてぇ」と小さな身体でずっと持ち歩いているようです。
発達障がいと自己肯定感
発達障害の人も、自己肯定感が高まりにくいとも言われています。
以前こちらの「反抗挑戦性障害」の記事で「自己肯定感を損なわせない」表現を使いました。
反抗挑戦性障害の子どもは、自己肯定感の低さが原因で発症すると言われています。
本当は繊細で感受性豊かで理想が高くて完璧主義なお子さんが多いんじゃないかと思いました。
ADHDの二次障害と言われていますので、もしかしたら合併しやすいLD(学習障害)の気質もあるかもしれない。
- なぜ自分はできないことが多いのだろう
勉強が不得意だったりコミュニケーション能力に問題がある
- 注意が保てないからできないのに「宿題しなさい」ってまた怒られた
「注意が保てない」理由はたくさんあるのに気付いてもらえない
- 本当は自分は友達がたくさんできるはずなのに、なかなか友達ができない
そんな自分が許せないし恥ずかしい
- 人気者の子は自分とは違って勉強やスポーツが出来る
そんな人になれない自分は落ちこぼれだ
ADHDやLDを持つと、学習面で困難を抱える子どもが非常に多く、本人の特性に気付いてもらえなかったり、何度も同じことを繰り返し伝えても出来ないのが発達障害の特性なので、親や教師に怒られたり注意されたり、友達からからかわれやすいために自己肯定感が下がってしまうと思われます。
学校で劣等感を抱きやすい分、気を許した親に対してだけは優位に立ちたい現れなんじゃないかと思います。
ASD(自閉症スペクトラム症)の自己肯定感
HSCやADHDは自己の感情の流入がありましたが、ASDの場合は少し違うのでは?と思っています。
特性に気付いてもらえず、親や教師や同級生から「みんなと同じ」を強制され続けた生活をしているために自己肯定感が下がるのでは?と思いました。
「自分はここにいてもいい存在」だと漠然と思える場所が必要なのがASDの子ども達だと思います。
自己肯定感を損なわせない方法
- 人格を否定しない
- 怒鳴らない
特にHSCは他人が怒られているだけでも自分のことのように傷ついてしまいます。
- 叱る時は個別に
大勢の前で叱られると穴に入りたくなります。
- 叱る時は短い言葉でビシッと
どんな子どもにも有用だが、特にADHD気質のある子にはダラダラ説明しないようにする。ダラダラの説明は、親の“感情”が入っている可能性に留意する。
- 「怒る」のではなく「叱る」
怒る=親の個人の感情が入っている
叱る=正しい道へと導いてあげる
- 悪い事をしたら反応は薄くする
強く否定したり無視すると悪化する
- 子の価値観を認める
自分と子どもはそれぞれ違う人間だということを忘れない。
- 親が悪いことをしたらちゃんと誠心誠意を持って謝る
- 他人の子と比較しない
- 他人の前で自分と子どもを謙遜しない
「ありがとうございます!」
「おかげさまです!」
「親に感謝です!」
この3つを使う
- 出来ない事にチャレンジするときは『スモールステップ』を親が用意する
- 『条件付きの愛』になっていないか注意する
自己肯定感を高める方法
- たくさん「ありがとう」を使う
- たくさんのスキンシップと愛情の言葉のシャワーを浴びさせる
- 訴えには共感してあげる
- 「褒める」のではなく「評価する」「認める」(特に同性同士が嬉しいみたい)
- 子どもと親は対等である
「育ててやってる」は違う。
- 子どもの『結果』ではなく『行動』を褒める。
- 子どもの好きな物や興味のあることを理解する。
なんなら一緒に楽しむ。
- 子どもの成長(縦)を喜び、褒めて認める
何でもないようなことを見つけて褒める
- 子どもの感覚をフル活動できるような体験をたくさんさせてあげる
料理やキャンプやアスレチックや粘土遊びなどなど
- 子どもが自分1人で「できた!」と思わせる体験を積ませるためのグッズや作戦を用意する
(例)モンテッソーリ教育、視覚支援、できたねボードなど
さいごに
私もまだ『自己肯定感を損なわせない/高める』境地に立ててません。
長男を育てていると、繊細で傷つきやすい面と暴力的で反抗的な面が紙一重でいつも冷や冷やします。
育てにくくて扱いが本当に難しい子ですが、周りと協力しながら大事に育ててあげたいと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
関連著書
HSP×自己肯定感

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- 作者:根本裕幸
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発達障がい×自己肯定感
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