子どもの心の発達の度合いがわかる、【心の理論】のチェックテストのパート②です。
【心の理論】は、自閉スペクトラム障害の研究に多く扱われますが、幼児期の心の発達を見るためにも利用されています。
子どもに携わる職業の方は知っている方も多いと思います。
是非お子様に向けてやってみてください。
(大人の方もどうぞ!)
今回の記事では、前回よりも難しくなった【二次的誤信念課題】をかわいいフリー素材集 いらすとやさんのイラストをお借りして、私Riccaが作成しました。
そして、難しさが更にアップする【社会的失言検出課題(faux pas)】テストの一つをご紹介します。
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【心の理論】とは?
心の理論とは他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する心の機能のことである。
(wikipediaより)
「わたし(ぼく)」と「他の人」の心に映し出される世界は違うことがわかるかどうか、ということを、「誤信念課題」と呼ばれるテストを使って、子どもが【心の理論】が発達しているかどうか調べます。
一般的に定型発達児の4歳後半から、この【心の理論】が発達していくと言われています。
前回は「一次的誤信念課題」というテストでした。
今回は「二次的誤信念課題」という5歳後半〜9歳児向けの、より難しくなったテストをご紹介します。
前回記事はこちら
www.hattatsu-decoboco.com
二次的誤信念課題①誕生日課題
お子様の発達に合わせてわかりやすく読んであげてください。
答えが出たら、「なぜそのように判断したか」を尋ねてください。
二次的誤信念課題②アイスクリーム課題
なみちゃんとみつおくんは楽しそうに公園で遊んでいました。
公園にクレープの移動販売車がやってきました。
なみちゃんは、クレープを食べたくなったけど、けどお金がないから、お家に取りに行くことにしました。
クレープ屋さんは「お昼過ぎまで公園にいるよ」と言っています。
なみちゃんは一度お家に帰りました。
少し時間が経ち、「この時間は駅前が繁盛するぞ」と考えたクレープ屋さんは、駅前に行くことをみつおくんに伝えました。
みつおくんは、「なみちゃんに伝えなきゃ!」と、なみちゃんの家に行くことにしました。
ちょうどその頃、クレープ屋さんはなみちゃんの家の前を通りかかりました。
なみちゃんはどこに行くのか尋ねました。
クレープ屋さんは、「駅前に行くよ」と言いました。
遅れてみつおくんが、なみちゃんの家に到着しました。
なみちゃんのお母さんに、なみちゃんはどこにいるのか尋ねたら、「なみはクレープを買いに行ったわよ」とだけ伝えました。
みつおくんは、なみちゃんがどこに行ったと思ったでしょう?
答えが出たら、「なぜそのように判断したか」を尋ねてください。
①と②の答え
①の誕生日課題の答えは「おもちゃ」
②のアイスクリーム課題の答えは「公園」です。
登場人物が入れ子構造になっているため、前回より難しくなっています。
心の理論と自閉スペクトラム障害
詳しくは前回記事に記載あります。
前回の【一次的誤信念課題】に通過できた子も、今回の【二次的誤信念課題】になると更に正答率が減るようです。
【一次的誤信念課題】で定型発達児が5〜6歳で86%が通過できるのに対し、自閉症児は20%の通過率となります。
言語精神年齢が高い旧アスペルガー症候群と言われる子どもは、【一次的誤信念課題】も【二次的誤信念課題】も通過できると言われています。
社会的失言検出課題(faux pas)
【一次的誤信念課題】と【二次的誤信念課題】は4〜9歳を対象にしたテストですが、【社会的失言検出課題】は7歳(10歳)以上〜成人に向けて作られたものです。
【一次的誤信念課題】【二次的誤信念課題】をクリアしたアスペルガー群の子ども·大人達も、【社会的失言検出課題】のクリアは難しくなるようです。
以下は例文です。
北小学校で小論文のコンテストがあった。誰でも参加することができた。5年生が何人か参加した。5年生のりょう子はコンテストに出した自分の小論文をとても気に入っていた。
(間)
数日後、コンテストの結果が発表された。りょう子はどの賞も取ることがで
きず、同じクラスの五郎が優秀賞を取った。(間)
次の日、りょう子は五郎とベンチに座っ
ていた。彼は優秀賞のトロフィーを眺めていた。「あのコンテストで賞をとることはとても簡単だったよ。コンテストに出された小論文は、どれもひどく出来が悪かったんだ」と
五郎は言った。(間)
「トロフィーはどこに飾るつもり?」とりょう子は尋ねた。
① 言うべきでなかったことや気まずいことを言った人はいますか?
Yes / No
Yes なら、以下を質問:
② 誰が言うべきでなかったことや気まずいことを言いましたか?
③ なぜその人はそれを言うべきでなかったのでしょう?なぜそれは気まずいことなのでし
ょう?
④ なぜその人はそのように言ったと思いますか?
⑤ 五郎は、涼子が小論文コンテストに参加していたことを知っていましたか?
⑥ 涼子はどのように感じたと思いますか?
Control questions: (主旨を理解しているかどうか)
⑦ 誰がコンテストで優秀賞を取りましたか?
⑧ 涼子の小論文は何かの賞を取りましたか?
以上は世界各国で翻訳されている【社会的失言検出課題(faux pas)】の一つです。
【社会的失言検出課題】のテストを受ける人は、このように「言ってはいけない失言」が入ったストーリーや、それっぽく見せかけて「全く失言の含まれない」ストーリーを織り交ぜた問題を出題されます。
児童向けでは③④⑥の問いが省かれますが、10歳以上になると成人と同じ問いを解きます。
11歳の定型発達児と、自閉症(言語IQ70以上)の11歳の子ども達では、定型発達児の方が明らかに正答率が高かったのですが、
13歳、15歳の自閉症児も、この【社会的失言検出課題】をクリアし、定型発達児と同じように失言を判断することができた、という研究結果があります。
11歳〜13歳辺りを境に、自閉症児も社会的に「言ってはいけないこと」を理解する力が備わっていくことがわかりました。
尚、この研究に関しては、海外の先の研究の報告とは相違があったようです。
・参加の自閉症児達は、幼い頃から療育を受けてフォローされている。
そのため、病院受診をしている成人の高機能/アスペルガー症候群の自閉スペクトラム障害の人達と比べて【心の理論】の正答率が高いのかもしれないという推測
・サンプル数が少ないから、もっと大規模なサンプルで確認を行えば結果は変わるかもしれない
などの言葉で締め括られています。
参考文献:高機能自閉症、アスペルガー症候群の心の理論の発達
さいごに
今回は【二次的誤信念課題】と【社会的失言検出課題】を取り上げました。
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