以前【発達が気になる子】社会面のコグトレ〜段階式感情トレーニング・ソーシャルトレーニング〜『ケーキを切れない非行少年たち』 - 発達凸凹BOYとの日常で、コグトレや「ケーキを切れない非行少年たち」で有名な宮口幸治先生の本の紹介しました。
今回は現在かなり人気の漫画である
著・宮口幸治
作画・佐々木昭后
「マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち (扶桑社BOOKS)」を読了しました。
舞台は、小学校2年生の困りごとが多い発達凸凹の子どもたちと、新任の担任の先生。
その先生を導いてくれるのが、脳科学と心理学に超詳しい先輩の先生…といった構図の漫画です。
今回のブログ記事は、本の内容に沿って境界知能やグレーゾーンと呼ばれる「不器用で生きづらい、発達凸凹っ子の困りごと」の数々と、対処法をご紹介していきます。
境界知能とグレーゾーンの子どもたち
本書は2021年9月現在、Amazonカテゴリ障害児教育ノンフィクションでベストセラー1位になっています。
続編も新たに発売されています。
境界知能の子どもが勉強についていけなくなるワケ
境界知能(ボーダー)とは、IQが70〜84までのことを言います。
IQが70以下になると、「知的障害」と認定されますが、認定されないからこそサポートが受けられにくくなり、子ども本人の困りごとが多くなります。
境界知能の子の発達年齢は7〜8割と言われています。
(例)8歳(小2)の子どもの場合
大雑把に考えて8歳×0.7〜0.8=6歳の発達年齢であると考えます。
できないことから自分を守るために、最初からやろうとしない「僕には無理」「こういうのやらないタイプ」と口癖で言ってしまうこともあります。
言われたことは大体できるけど、いつもと違ったり問題が起こったりすると、どう対処していいかわからなくなってしまう。
境界知能の場合、苦手なところもある程度トレーニングで伸ばすことができると考えられています。
まだ「様子を見よう」と言うより、少しでもできることを考えていきましょう。
・自信を持たせる→得意なところを伸ばす
・対人スキルトレーニング
・コグトレで認知機能UP
見る力、状況を読む力の弱さ
「自分が来たから、自分が嫌いでみんな逃げてしまった」
・周囲の状況を読み取る力が弱い
・視野が狭くなって物事の関係性を上手く読み取れない
何かあったときには、
・「ひょっとして自分の勘違いじゃないかな?」と考える習慣をつけさせる
「いくら○○くんが嫌いだからって急に逃げるかな?」
↓
「他に何かあったんじゃない?」
↓
「一緒に考えてみよう!」
・日記で出来事や気持ちを書かせて確認させる
まだ言葉を聞いただけでは理解することが難しいため、子どもと一緒に考えて答えを導き出すのが大人の役目ですね。
やる気がない子ども
「何でもいい」
といつもやる気のない子の場合、やる気を出させるよりまず、その子に足りていないものがあると考えます。
安全欲求→住む家がある
所属と愛の欲求→家族からの愛情がある
承認欲求→みんなから認めてもらえる
自己実現欲求→やる気
欲求の下位4段階の基礎がグラついていると、「やる気」は出てきません。
「自己実現欲求=やる気」以外のどれか、もしくは複数が満たされていない可能性があると考えます。
よく嘘をついてしまう子
「○○くんは教室前の階段とトイレ掃除をお願いね」
と言ったはずが、階段掃除しかやっていなかった。
確かにあの時、気持ちの良い返事をしたはずだから、この子はちゃんと聞いていたはず。サボったんじゃないの?
嘘をついちゃいけないよ。
そして子どもは泣いて怒ります。
「そんなこと言われなかった!
僕は嘘なんかついてない!」
嘘に見える背景を見逃さないために
実は「指示をしっかりと聞き取れていない」かもしれないことを考えてみましょう。
その子の聞き取れる文章が
「2語文」
「3語文」
「それ以上」
なのかを把握しておく
心理的側面で本当の嘘をつく場合もあることも念頭に置いておく。
↓
叱られたくないから嘘で自分を守ろうとする。
本書ではこのように軽く解説されていたので少し補足します。
上手な叱り方については、保育士You Tuberてぃ先生の動画が非常に参考になります。また「嘘をつかないためには」の記事も追って書いていきますね。
また、本書には記載がありませんが、先日ご紹介した本の中に「言った言わないを減らす」ために、大人が行うべき『子どもに伝える方法』を記しています。
子どもというのは、基本的に注意が逸れやすいと考えるべきであり、
「わかりやすい言葉で」
「脳に入りやすい環境を整えて」
を基本に考えて伝えると、子どもが混乱したり聞き逃したりすることがかなり減ると思います。
詳細は下記のリンクをご覧下さいね。
見捨てられ不安
感情の起伏が激しい子は見捨てられ不安が関係しているかも?
乳幼児期に主たる養育者との関係の中で、「十分に受け止められた」「安心感をもらえた」という実感を持てなかった場合に生じることがあると言われています。
別書である
「ママ、怒らないで。」を読んだ際、HSC(ひといちばい敏感な子)は、他の多くの子ども達より慎重に親離れをさせなければならない。…とありました。
感受性が高く、繊細な子どもは、早い段階(2〜3歳頃まで)に親離れ(保育園などの長期的で長時間の保育)をしてしまうと、ひといちばい不安を抱えやすくなるようです。
長男も1歳3ヶ月で保育園デビューしたため、生まれ持っての気質に加えて、長男にとってのセンセーショナルなこの出来事が、「見捨てられ不安」を強くさせてしまった原因ではと、今では感じます。
また、長男の感情の起伏の激しさに耐えきれず、良くない言葉をかけてしまうなどの養育の不適切さなども要因の一つになっていると思っています。
見捨てられ不安が強いとこうなる
いつ相手から見捨てられるかと不安で、相手の言動に一喜一憂してしまう。
相手から素っ気ない態度をとられる
↓
被害的になって怒りに変わる
↓
自分に向く or 他者に向く
逆に優しくされると
「やっぱりいい人だった」と急に機嫌が良くなるなど、『試し行動』の一つ
・一貫した態度で関わる
不適切行動をしたときには、必要以上に反応しない。(後に大泣きして構ってもらおうとするなどをしても)
良い行動ができたときには、褒めて適切な行動を強化する。
見捨てられ不安などの愛着障害行動については下記に詳しく記載しています。
www.hattatsu-decoboco.com
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感情の未分化
自分のモヤモヤがまだ未分化されていない
子の場合、その感情を表す言葉が出てこない。
そんな子に「何か嫌なことでもあった?」「何か悲しいことでもあった?」と質問してはいけません。
自分の感情を話すことは高度なことだからです。
まずは他者の顔の表情から気持ちを表す言葉を勉強していき、後に自分の感情を知るトレーニングが必要です。
(怒りの温度計や、表情カードなど)
感情の未分化、感情のトレーニングについてはこちらが詳しいです。
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こちらのピンポイントなワークブックもオススメです。
さいごに
本書は学校の先生方へ向けた内容ですが、保護者の方にもわかりやすくて勉強になる内容となっています。
発達障害、グレーゾーン、境界知能だけではなく、親の不適切な養育が原因で子どもの不適切行動を起こすことも有り得ると間接的に触れられているため、一部の保護者の方の気付きにもなる本だと思います。
本記事ではほんの一部内容の紹介でしたが、本書ではもっとたくさんの「少し困り事のある」子ども達の様々なパターンの解説が紹介されています。
Amazonでベストセラーになっている本書を、下記リンクから是非チェックしてみてくださいね。
お読みいただきありがとうございます。
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